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プロジェクトについて

正式には、「玩具映画および映画復元・調査・研究プロジェクト」という。通称「玩具映画プロジェクト」(TOY FILM PROJECT)と呼んでいる。大阪芸術大学藝術研究所の共同研究として、2003(平成15)年より大学から助成金を得て、この「映画復元」プロジェクトの活動を始めた。
このプロジェクトでは、無声映画フィルム、特に大正期から昭和にかけての玩具映画フィルムの復元を行い、世界での共通規格である35mmフィルムの複製原版を保存、その映像のデジタル活用と調査研究を行っている。映画コレクターや映画愛好家、また映画文化の保存に理解ある人たちの寄贈や協力を得て、現在約600本の玩具映画フィルムを復元することができた。
このプロジェクトの対象としている無声映画は、1920年代から30年代が全盛期で、日本映画の第一次黄金期にあたる。残念ながら、それらの映画の殆どが消滅している。戦争という不幸な時期があり、戦禍で失われた映画もあったが、大半がトーキー時代(1930年代以降)に入り、映画館での上映を終えた無声映画は興行的価値を失い、不用品となって廃棄するか、配給品との物々交換として供出する以外になかった。フィルムの感光乳剤の銀塩は高価な資源であり、フィルムベースのセルロイドは綿火薬とも呼ばれ、戦時中は軍需品として位置づけられていた。貴重なフィルムを再活用するために、再生フィルム会社も創設され、不要フィルム(?)は売買され、乳剤を洗い流して新しい乳剤を塗布して生フィルムとして再生産された。このリサイクル作業によって、物質としてのフィルムは再利用されたが、貴重な映像財産は消えて行った。
特に、フィルム・ベースはセルロイド製で、ナイトレート(ニトロ・セルロース=硝酸セルロース)フィルムと呼ばれ、現在では消防法によって、危険物と位置づけられ、大量に所有することが禁止されている。1950年代に国産の不燃性セーフティ・ベースのアセテート(三酢酸セルロース)フィルムが出来ると、不燃化作業が進められ、原版の複製作業は始まったが、残念ながら複製を終えたオリジナル・フィルムは危険物として廃棄されていった。
戦前の日本映画の残存率5%以下が示すとおり、110年以上の歴史を持つ日本映画の文化財産が壊滅的な状況にある。特に、近年になり、デジタル化が進められて、“フィルム不要論”を語る人も現われ、再び人災ともいうべき、映画財産が失われる危機的な状況にあると言える。欧米では、“フィルム”を生かすために“デジタル”が開発されたが、日本の場合は、映画産業の弱体化もあって、テレビでの活用に向かった。“フィルムに代わるデジタル”開発が進められ、この考えの違いが、映画文化に対する理解の差となり、施策の違いとなっている。
今、我々がビデオで映画を観られるのも、フィルムで保存されてきたからである。ビデオがデジタルに、DVDがブルーレイに、また新しい規格に代わっても、フィルムで残される限り、映画を再生し、鑑賞することが出来る。このような状況の中にあって、民間に埋もれた映画を発掘し、その映像を復元して複製原版を保存し、また、それらの意義を広く知らせるための活動が、この「玩具映画プロジェクト」の最大の目的である。
このプロジェクトを始める以前から、本学では「映画復元」に積極的に取り組み、京都映画祭や海外の映画祭にも参加し、また国立フィルムセンターや京都府京都文化博物館とも、共同で映画復元を行ってきた実績を持っている。また、2006年より「映画の復元や保存に関するワークショップ」を提案し、復元ラボ=現像所(IMAGICAウェスト)において、次代に続く人材の育成や映画保存の意義を広げる活動も行っている。

